12月は何かとイベント・行事が多く、「師走」と呼ばれるほど1年で最も忙しい時期と言われています。
外気と内気の寒暖差による疲労感、忘年会や新年会による胃腸負担、年内に片付ける仕事が多く、多忙によるストレス疲労、睡眠不足など、体調の不調を起こしやすい時期でもあります。
漢方の古典『黄帝内経(こうていだいけい)」によれば、冬の3カ月を「閉蔵」といい、『冬は草木が枯れ落ち、穀物は倉(蔵)の中にしまい込まれ、動物は冬籠りするように、すべてが閉塞して陽気(エネルギー)を外に出さない季節』とされています。
つまり、本来は「気」を体内に溜めておくべき時期にも関わらず、体を休めるどころか、忙しさのあまりついつい不規則な生活になってしまい、疲れが溜まっているのに休めない、調子が悪いのに病院に行く時間がない…など、気付かないうちに不調に陥ってしまいやすくなっているのです。
とはいえ、「休みたいのは山々だけど簡単にそういうわけにもいかない…」という事情がそれぞれあると思います。
そんなときにおすすめするのが「ツボ押し」によるセルフケア。家でもどこでも簡単にできるので、漢方茶と合わせて実践することで、より効果が期待できます。
東洋医学では2000年以上前から「経穴=ツボ」による治療が行われてきました。かつて、古代中国ではツボの数を1年の日数に合わせた“365”としていましたが、「WHO(世界保健機構)」が改めて整理し、現在では“361”種類と、世界的に標準化されました。
(参考論文:WHO経穴部位国際標準化の経緯と今後)
ツボと臓器はつながっており、臓器が不調になると関連するツボにも、押すと痛みを感じる、色が変化する、硬くなる、といった異変が起こります。東洋医学ではツボと臓器の関係を利用して、臓器の異変を診断したり、ツボに刺激を与えて筋肉の凝りや痛み、内臓の不調、疲労やストレス症状などを改善したりできるのです。
361種類のツボは全身に点在していますが、中でも肘から指先までの「手」と、膝下から指先までの「足」には、さまざまな不調の改善に役立つ「万能ツボ」があります。
- ① 関衝(かんしょう) - アレルギー、花粉症
- ② 少衝(しょうしょう) - のぼせ、動悸、不安、緊張
- ③ 少沢(しょうたく) - 首・肩の凝り
- ④ 小骨空(しょうこっくう) - 目の疲れ
- ⑤ 中衝(ちゅうしょう) - のぼせ、眠気、舌のこわばり
- ⑥ 商陽(しょうよう) - 背中・肩・首の凝り、発熱
- ⑦ 合谷(ごうこく) - 目の疲れ、肩凝り、腰痛、かぜ、花粉症、二日酔い、緊張、下痢、便秘
- ⑧ 少商(しょうしょう) - のどの痛み、せき
- ⑨ 腰痛点(ようつうてん) - 腰痛
- ① 大敦(だいとん) - イライラ、だるさ
- ② 隠白(いんぱく) - 食欲不振
- ③ 大都(だいと) - 食欲不振、胃腸炎
- ④ 行間(こうかん) - 目の疲れ、高血圧
- ⑤ 太衝(たいしょう) - 冷え、吐き気、胃痛、過食、下痢
- ⑥ 厲兌(れいだ) - 食欲不振、歯痛、膝痛
- ⑦ 足竅陰(あしきょういん) - 頭痛、耳鳴り
- ⑧ 至陰(しいん) - 頻尿、膀胱炎
- ⑨ 内庭(ないてい) - 過食、歯痛
- ⑩ 足臨泣(あしりんきゅう) - 肩凝り、頭痛
手のツボも足のツボも全身の調整に有効ですが、大きく分けると、手には上半身に効くツボが多く、足には下半身に効くツボが多いという傾向があります。
さらに、手足には毛細血管が集まっているので、そこを刺激することで血流が効率よく改善されます。頭に集まっていた血液が末端の毛細血管に流れてくれば、血圧が下がり、自律神経も副交感神経が優位になってリラックスモードに切り替わります。
冬本番を迎え、一層寒くなるこれから。特に抑えておくべきツボをいくつかご紹介します。
風邪のひきはじめや目・鼻・歯の痛みなど、首から上の症状に効果的。肩コリ・ストレスなどにも効く、万能のツボと言われています。
親指と人さし指の骨の分かれ目、やや人さし指側のへこみ部分を反対の手の親指で30回ほど強く揉むようにしましょう。
冬の乾燥時期に起こりやすい、せき・のどの痛みに効果を発揮します。また、精神的な不安やそれにともなう肉体的な過敏症にも効果的です。
親指の外側の爪のつけ根を、反対側の手の親指と人差し指でつかみ、痛くない程度にもみほぐします。
冬時期の「冷え」を改善するツボです。飲み会などで疲れた胃腸を整える効果もあります。
第1趾(親指)と第2趾の骨の間を足首の方に辿っていったくぼみ部分を、じっくり押す・離すをくり返します。お風呂に入りながら、リラックスした状態でツボを押すと、より効果的です。
手と足のツボは、いつでもどこでも押すことができる手軽さも魅力。なんだか疲れやすい、思い当たる節のない痛みなど、不調を感じることがあればツボ押しセルフケア・マッサージを試してみてはいかがでしょうか。リラックスできる、「QONFY」の漢方茶もおすすめです。